地震だ!停電だ!
ペーターのまさかの行動に衝撃!

突然の停電

 
2021年2月13日土曜日の夜11時過ぎのことでした。ペーターは、その日はいつも通りに過ごし、その時も、「トーマス図鑑」や「トイストーリーの秘密」などのお宝を広げ、寝る前の時間をくつろいで過ごしていました。ハイジは、『このドラマを見たら寝よう。』と、テレビを付けながらメールをチェックしていました。すると、突然、テレビに緊急地震速報が流れました。地震は東北地方のようだったので、そのまま、様子を伺っていると、また、緊急地震速報が流れ、その直後にフツッ電気が消えました。ペーターは、突然真っ暗になったことでびっくりした様子。『電気を付けろ!』と騒ぎ出しました。直後に地震が来ましたが、ペーターにとっては地震より停電の方が重大事で、揺れに関しては大して気にしていない様でした。もしかしたら、停電のことで一杯で、揺れていること自体気付いていなかったかもしれません。思えば10年前、東日本大震災の計画停電の時も大騒ぎでした。テレビはブチ投げるは、テーブルの食事を全部ブチまげて、真っ暗な中、居間は惨憺たる状態になり、二度とあんなことはごめんだと思っていました。懐中電灯は手の届くところに常備していたし、パソコンはしばらくついていたので、完全な真っ暗闇ではありませんでしたが、そんなことでは治まりません。「もう、寝よう。寝よう。」となだめても。当然のことながら納得する訳もなく、テレビをブチ投げようとするのを慌てて阻止しました。ハイジを一発殴って2階に駆け上がったので、あきらめて寝に行ったかなと思いました。その時外で、災害情報を放送し始めたので、よく聞こうと雨戸を開けました。すると、目の前の道路にドサリというような音がして、誰かが倒れたような気配がしましたが、真っ暗なのでよく分かりません。立ち上がろうとしてまた倒れたようでした。家の前の道路は日中でもあまり人が通らないし、まして、こんな夜更けに?といぶかしく思いながらも、『通りかかった誰かが地震で転んで怪我したのか?それとも酔っ払いか?』と思っていると、2階から弟が下りてきて「ペーターが2階の窓から飛び降りた。」と言うのです。1ミリも想定していなかったあまりに突飛なことだったので、とっさには意味が呑み込めませんでした。しかし、数秒後、うめいているのは、誰かではなく、我が子だと言うことが分かり、びっくり仰天して急いでハイジとおんじは外に飛び出しました。


●大丈夫か!怪我は!

 
道路にペーターが座り込んでおり、どこに行くのもお宝を入れて持ち歩いている大きな手提げ袋と「トーマス図鑑」などの中身のお宝が散乱していました。ハイジは駆け寄り「何で?何で?どうしてこんな馬鹿なことを・・・」と、上を見上げるとペーターの部屋の窓が黒々と全開になっていました。『あんな所から飛び降りてただで済まされるわけがない。きっと大怪我をしているに違いない。』と思い、まず怪我の状態を見ました。足の裏が傷付いて血が出ていました。『骨は?どこか強く打って骨が砕けてしまったのではないか?足は?お尻は?』と、見回しても、真っ暗な中、外からでは怪我の状態は分かりません。その時、おんじが車のエンジンを掛けライトを付けました。すると、ペーターは自力ですくっと立ち上がりスタスタ車に向かって歩いて行くではありませんか!そして、車に乗り込んでしまいました。自力で歩けたことにびっくりするやら、少しホッとするやら。車の中で、足首を回したり、かかとを押したりしても特に痛がることはありませんでした。でも、『外から分からなくても、どこか怪我しているかもしれない。やはりすぐに病院に行った方が良いだろう。』と思いました。でも、市立病院の電話番号を調べようにもハイジもおんじもガラケーだし、パソコンは停電で消れてしまったので調べられません。「連絡無しで連れて行ってみようか。」などと慌てているのでいろいろ考えがグルグルめぐっています。取り合えずハイジが保険証や医療証やコートを取ってきて準備しているうちに、おんじが119番に相談してみようと電話をしていました。事情を説明し始めると、住所を聞かれ、「只今出発してそちらに向かっています。」とのこと。ハイジは、倒れているペーターを見た時にはとっさに「救急車!」と思いましたが、『救急車を呼ぶほどではないのでは?』と思い始めていたので、「え、救急車呼んだの?」と、少し驚きました。でも、もう来てしまうというのでは仕方ありません。「それじゃあ、私が一緒に救急車に乗って行くから、あなたは車で、付いて来たら」などと相談しているうちに救急車が到着しました。
 


●救急車も病院もわりと冷たい?
 
 
救急隊員の方々に事情を説明すると、「まず小さな病院に行ってそこでの指示があれば大きな病院に行くことになるかもしれません。」と言われました。『小さな病院では意味が無いのでは?』と思いましたが、コロナのご時世なのでいろいろ事情があるのでしょう。ところが、、いざ救急車に乗せようとしてもペーターが頑として車から降りず、バタン!と力を込めてドアを閉めてしまいます。救急隊員の方々の説得も空しく、激しく拒絶。そこで救急隊員の方々は「丁度車に乗っていることだし、このまま自分たちで病院に連れて行ったら。」と言います。「でもどこの病院に行ったらいいのでしょう?」と聞くと、「そういった病院の紹介のようなことはできないので、自分で調べて連絡取って行って下さい。」とのことでした。「ガラケーなので調べられなくて・・・」と言うと後ろにやぎのきぃ坊が立っていて市立病院を調べてスマホを差し出しました。『もっと早く出せよ~』
 市立病院に電話すると、まず若い男性が(声が)出て、色々聞いた後「ちょっとお待ちください。」と今度は女性(声からしておばさん?)が出てきて、ねほりんはほりん聞かれました。そのあげく「うちでは診られないので藤沢市民病院に行って下さい。」とのこと。「は?どうして診られないんですか?」「当直医師が専門で無いので、藤沢市民病院の方が良いと思います。」「それは自分で調べて連絡取って勝手に行けということですか?」「はい。」とつれない返事でした。茅ヶ崎市民なのに、税金払っているのに、いざという時全く役に立たない病院です。そこで、おんじとハイジは相談。「藤沢まで行くのは遠いし、行ってもこの調子では、車から降りないかもしれない。今の所、足の裏しか痛がっていないから様子を見てみようか。」そこで、家に入るように促しましたが、またしても頑として出ようとしません。車の中に籠城しています。そこで、車の中は灯りもつくし、暖房を掛けていれば暖かいし、地震の情報も聞けるので、もうしばらくおんじと二人車に居ることにしました。ハイジは家に戻り、横になりましたが、眠れる訳がありません。山でも、いつもちょっとした所でもロープを出して落ちて怪我をしないように気を付けているのに、自ら飛び降りて怪我をてしまうなんて、今までの努力が水の泡というか、やり切れない気持ちでいっぱいでした。『何で?何で?』とつらつら考えるに、ペーターはいつも自分の部屋の電気を一晩中つけっ放しにして寝ています。『ペーターは暗闇が恐くて嫌いなのかもしれない。だから一刻も早く明るい所に行きたかったのかもしれない。車に乗っているのも明るい所に連れて行ってほしいからなのかもしれない。』ということに思い至りました。『でも、山の夜は真っ暗なのになぁ・・・』
 午前2時、パッと明かりがつきました。ペーターが、トイレサインを出したので、おんじが車の外に靴を出すと、それを履いてさっさと家の中に入ってきました。やれやれでした。


●レントゲンも一苦労
 
 翌日、様子を見るに、足の裏の傷は皮が擦り剥けている所もありますが、浅い傷だし、踵などに多少痣はあるものの、押しても回しても痛がりません。ただ足の裏が床に着くと痛いらしく爪先で歩いています。それから座った状態から立ち上がる時に、どこが痛いのかは分かりませんが、痛そうな様子でした。緊急を要するほどではなさそうなので、月曜日に、病院に連れて行くことにしました。
 月曜日、ハイジのリウマチの主治医の整形外科の先生の居る病院に行きました。ここは、失礼ながら、いつも空いているし、長年ハイジがお世話になっていて、ペーターのことも理解してくれると思ったからです。経緯を話すと、とても驚いた様子でした。とにかく、レントゲンを撮ることになりました。でも、初めての病院、初めての先生、初めての足のレントゲンで、一人ですんなりレントゲン室に入って技師さんの指示に従ってじっとして、レントゲンを撮ることができるのなら、窓から飛び降りるなんてことはしないでしょう。特別に親が防護服を着て一緒に入って撮ることになりました。横になって撮ろうとしましたが、不安がってすぐ起きて出て行こうとします。座って撮ることにしました。初めはおんじが側に居ることになってハイジは外に出されましたが、すぐに出てきてしまいました。そこで今度はハイジが入ってなだめすかし、なんとか数枚撮れました。さらに向きを変えて撮ろうとしたら、もう、限界とばかりに立ち上がってハイジが止めるのを振り切って、出て行こうとしました。そこで、外で待っていたおんじが入り口に立ちはだかって押し止めようとしましたが、グイグイ押して外に行こうとします。ついに、業を煮やしたておんじが『
こらっ!
と大声で怒鳴りました。その一声が効いてスゴスゴ室内に戻り、残りの数枚撮ることができました。しかし、これは禁じ手です。今回はうまく行きましたが、場合によっては益々興奮してエスカレートして大乱闘になってしまう可能性もあるからです。次回は威嚇は絶対止めてほしいものです。
 



レントゲンでは、骨に異常は見られませんでした。先生が、傷や痣をよく見ようとして椅子に座らせようとしましたが、頑なに拒否して、ズンズン外に出てしまい、とうとう診せることはできませんでした。しかし、『とりあえず骨折は無かったので、傷が治れば普通に歩けるだろう。良かったね。』と言うことで、ホッとしました。それにしても、2階から裸足で飛び降りて、骨折しないでかすり傷で済んだという方がむしろ驚きです。骨が強いのでしょうか。とにかく、軽症で本当に良かった。とてもとてもラッキーでした。



●絶対離れちゃ駄目よ
 
 
今回の騒動で学んだことは、災害などの緊急時には、決してペーターの側を離れてはいけない。目を離してはいけないということでした。2階の窓から飛び降りるなんてことは、毛一筋ほども想定していなかった行動でした。いつも、何をしでかすか分からないので、目を離さないように気を付けてはいるのですが、緊急時には、予想をはるかに超えた突飛な行動に出る可能性があることが分かり、より一層注意しなくてはいけないとつくづく思いました。この先、いつどこで何があるか分かりません。この衝撃的な出来事をよ~く肝に銘じておこうと思います。
 

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